オリンピックの身代金~スポーツの祭典に潜む影~

オリンピックの身代金~スポーツの祭典に潜む影~

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1964年東京オリンピックの妨害を宣言しその「身代金」を要求する犯人と警察の戦いを描いた作品です。

今回暗躍する犯人は東大卒のエリートですが、とある事情から土木労働者の置かれた不遇な状況に不満を抱き、革命を起こそうと事件を画策します。

フィクションでありながらリアルな貧富の差による人生の違いには頷かされるものがありました。

自分は学生でまだそこまで社会の格差を実感できてはいませんが、国や社会の繁栄に伴ってこういった弊害が起こるということについての是非を考えさせられます。

また、犯人である主人公は明らかに犯罪者として暗躍しているのにも関わらず、読んでいて彼の言葉には思わず納得してしまうような場面が多くあります。

恐らく筆者自身がそういったことに関する考えが深いからこそ書ける言葉なのでしょうが、それによってさらに冷遇されている労働者達の立場に立って物語をとらえることができました。

一方で、オリンピックや国を守るという使命のもとに全力を挙げる警察組織の面々もまた魅力的です。彼らもただ無慈悲に犯人逮捕だけを考えるのではなく、事件の発端とも言える格差社会について思いを巡らせながら捜査にあたるという点で、非常に人間味溢れる人々として描かれていました。

2020年の東京オリンピックを控えた今、様々なことを考えさせられる作品です。

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